Sweet Rain

日々のあれこれ、たまに詩

菜園だより'20 ⑯ 畑の手じまいとハルノ宵子「猫だましい」への2,3の感想

昨日まで、雪で覆われていた畑が今日の暖気で融けたので、3本残っていた大根の収穫をすることにした。それがこちら。

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11月に入ってからずっと寒かったのだが、よく育ってくれたものだ。明日にでもおでんにして食べる予定。

これで、今年の農作業はすべて終わり。コロナ禍の中で良い息抜きになった。来年もがんばろう。

庭を見ると、ボケの花が何輪か咲いていた。

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うーん。ボケもぼけたか。(つまらないシャレですいません。) 紫ツツジもそうだったけど、老木になると、季節が読めなくなってくるのだろうか。自分の認知機能の衰えを考えると、さもありなんとも思えるのだが。

さて、ハルノ宵子「猫だましい」だ。ほとんどが人(家族など)と動物(猫)の病気と死の話である。まして、中心になるのが、自分の2度の癌の話だ。

文章がおもしろいので、笑いをかみころしながら読みすすめていたが、ふと気がつくと、この人は病気や死に対して、とてつもなく腰が据わった覚悟を持っているとわかるのだ。もし私が彼女の状況に置かれたら、取り乱しているに決まっている。私は病気や死に対して、それほど強くはないので。

そのほかにも、父親の吉本隆明の晩年の姿とか、こんなことまで書いていいのかと思うような情景を活写している。私も若い頃は、ごたぶんにもれず〈自立小僧〉だったので、あの巨人もこうなるんだと、なんとなく安堵したりもした。

そして、動けなくなった余命幾ばくもない飼い猫が、亡くなる直前に二階から自分の前に降りて来て、身を寄せる姿などが描かれるシーンなどは、数年前に亡くなった飼い犬の最後を思い出して、思わずじーんとしてしまった。

などなど、つらい病気と向き合っている人々には、ぜひ読んでもらいたい一冊である。たたかう勇気をもらえることは間違いないし、人をいたわる方法がなんとなくみえてくると思う。