十份の駅で
願いを書いた赤い天燈が
空にあがってゆく
万券連取などという
くだらないことも書いてしまったけど
心の空白にひそむ
旅への思いが通じたのか
台湾は雨の降る季節なのに
今日はよい天気だ
昨日は辛い火鍋を食べ
台湾ビールを飲んだ
酒場の喧噪のなかで
異国語に囲まれ
薄っぺらなプライドが溶けてゆく
いつものようにのんびりと
やってゆけばいいのさ
消えてゆく天燈をみおくり
ちいさな声でつぶやく
ところで
日本で待っている犬は元気かな
(きみの健康は特にお願いしておいたけど)
◆犬はウェストハイランドホワイトテリアのオスで当時十三才。帰国して一週間ぶりにあった時は、なぜか妙によそよそしかった。おいていってごめんね。
(十份であげた天燈。ちょっと俗っぽかった。)