Sweet Rain

日々のあれこれ、たまに詩

篠田謙一「人類の起源」を読んで

なにか、とんでもない知見に触れてしまったというのが率直な感想だった。

実際、現在のナショナリズムの根拠は、このゲノム解析によって、吹き飛んでしまうのではないのだろうか。

人種という考え方が、遺伝子レベルでは、ほとんど意味を持たないということがどれだけすごいことかは、私の常識ではまったく考えられなかったことだった。ホモサピエンスが99.9%が同じ遺伝子で構成されているというのは、あらゆる世界観を変えてしまうように思えるのだ。

たとえば、身近な例でいえば、日本の天皇制は、ほとんど観念のレベルて造形されたものだということになる。ゲノム的には、日本固有のものなどなく、単に国家を形成するための共同幻想にすぎないからだ。そこには日本独自の人種的な根拠はどこにもないのだ。

また、現在、世界中で行われている人種間の戦争も、まったく根拠がないことになるだろう。いったい人間はなにをやっているんだろうか。人種間の優劣などどこにもないのに。

もちろん、文化とか言語とか歴史とか、さまざまな要素があるが、それは表面的なものにすぎないように思える。私たちはもっと根源的に考える必要があるのだ。

しかし、人類はいったい何をやっているのか。

私たちは、もうすこし、賢く生きていきたいものだ。