1
自然のままに生きてゆきたい
声を失い 言葉を失い
やがて 全てのものを
失った
かすかな思い出の切れはしをたどり
ようやく ひとつの幻に
たどりつく
失ったものはとうとい
だが本当にとうといものは
何だったのか
たどりついた幻の場所で
すこしだけあたたかいものに
触れた気がした
それはおそらく
空中に消えてゆく
私の体温だったのかもしれない
2
三人の少女の幻影が
西の空を駆けていった
彼女たちも
失ったとうといものを
捜しているのだろうか
幽霊になった私は
つめたい空気と同化し
あかるい朝日を
待ちわびる
かつてあった
肉体の輝きを見つけるために
3
きれいはきたない
きたないはきれい
幻の場所では
なにもかもが不確かだが
深い霧につつまれて
行くあてのない私の旅路は
どこまでも続いているのだ