Sweet Rain

日々のあれこれ、たまに詩

航海日誌 8 (福島競馬場)

なにを求めてここまできたのか

頭のうえを燕が飛びかい

妻と二人で

ちいさな競馬場になじんでゆく

 

昨日は元気のいい女将の店で

福島の酒 国権を飲んだ

ざらついた歴史という化石が

ぼくたちの喉の奥を通りすぎた

 

レースはたんたんと進み

ぼくは敗北を積み重ねた

ターフの向うに見える新緑の山々が

あまりにもきれいすぎて

 

午後四時をまわっても

燕は飛びつづけている

最終レースを終えて

負けはいくぶんちいさくなった

あとは穴原温泉吉川屋で

ゆっくりとお湯につかればいい

人生はいつもそんなふうに過ぎてゆくのだ

 

 ◆「航海日誌」という連作は、20年以上前に『やわらかい雨』という個人誌に掲載していたものだが、雑誌が休刊したため、この詩は未発表のまま放置されていたものである。当時はすべてのJRAの競馬場を巡る旅をしていて、地元の酒を飲んだり、楽しい時間を過ごしていた記憶がある。体力があれば今でも旅打ちに行きたいのだが。