ー男は
猫の皿にミルクをそそぎ
今日いちにちのことだけを考えていた
諏訪優「田端日記二」
希望荘ですごす静かな時間
(だれが名付けたのか
希望なんてどこにもないのに)
さよならと向きあう日々
凍りついた海に
かなりあを放す
(歌は本当に忘れたのか)
耳の奥に潮騒を聞き
やせてゆく女をおもう
(かげろうみたいだね まるで)
どこまでいっても幻の鬼ごっこ
だれがだれをつかまえたのか
いまになっても不明のままだ
◆函館で勤務していた時、住んでいたのが「希望荘」という古いアパート。風呂もな く近くの銭湯に毎日通っていた日々がなつかしい。