Sweet Rain

日々のあれこれ、たまに詩

MEMORIES 1 (函館 1985)

ー男は

 猫の皿にミルクをそそぎ

 今日いちにちのことだけを考えていた

           諏訪優「田端日記二」

 

希望荘ですごす静かな時間

(だれが名付けたのか

 希望なんてどこにもないのに)

さよならと向きあう日々

凍りついた海に

かなりあを放す

(歌は本当に忘れたのか)

 

耳の奥に潮騒を聞き

やせてゆく女をおもう

(かげろうみたいだね まるで)

どこまでいっても幻の鬼ごっこ

 

だれがだれをつかまえたのか

いまになっても不明のままだ

 

 ◆函館で勤務していた時、住んでいたのが「希望荘」という古いアパート。風呂もな   く近くの銭湯に毎日通っていた日々がなつかしい。